日銀が買い入れていた設備人材ETFとは

日銀は設備人材ETFを年間3,000億円買い入れています。
設備人材ETFは、設備投資や人材投資に積極的な企業で構成されるETFです。
運用資産が数百億円超の銘柄もありますが、現時点では市場ではあまり売買されていません。
設備人材ETF
「設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETF」ですが、媒体によって「設備投資・人材投資ETF」、「賃上げETF」など様々な呼ばれ方をしています。
本稿では設備人材ETFとします。
設備人材ETFは、その名のとおり、設備投資や人材投資に積極的に取り組んでいる企業で構成されるETFです。
日銀がETFを買い入れるにあたって、TOPIXや日経平均のような市場全体を買うのではなく、設備投資や人材投資に積極的に取り組む企業を買うということで、企業にメッセージを与えようとしたものと考えられます。
設備人材ETFが上場すれば、日銀が買い入れ対象とするという発表があり、それに応じて数社の運用会社が設備人材ETFを上場させました。
日銀は設備人材ETFを2016年4月から年3,000億円を購入することとしています。
現在までに6銘柄が選定されています。
日銀のETF買入れについてはこちらのコラムをご覧ください。
日銀砲 ~日銀のETF買い入れの謎を推察する~
日銀が買い入れていた設備人材ETFとは
日銀は運用資産(時価総額)の半分までしか買わない
ここがこのETFの最重要ポイントですが、日銀は設備人材ETFの運用資産の半分までしか買い入れを行いません。
すなわち、個人投資家や地銀や指定参加者など日銀以外で残り半分を保有する必要があります。
日銀の設備人材ETFの買い入れ額を見てみると、2017年1月10日までに累計で2,232億円の買い入れを実施しています。
これに対して、設備人材ETF6本を合計した運用資産は1,784億円であり、運用資産の半分どころか、既に買い入れ額が運用資産を上回ってしまっています。
どうしてこのような事態になっているのでしょうか?
日銀の設備人材ETFの年間買い入れ枠3,000億円は使いきれないのでしょうか?
設備人材ETFを買えない分は、JPX日経400のETFを買い入れる
設備人材ETFの買い入れ枠について、日銀が設備人材ETFを買いきれない分については、JPX日経400のETFを購入することが定められています。
設備人材ETFの運用資産が伸び悩んでも、日銀はJPX日経400のETFを代替として買うため、日銀の設備人材ETF買い入れ枠の3,000億円が使い切れないことはありません。
日銀が公表する設備人材ETFの買い入れの半分以上はJPX日経400のETFの買い入れに向かっていることになります。
2017年1月10日までに買い入れした2,232億円について、単純に計算すると設備人材ETFは運用資産の半分の900億円程度買い入れし、残りの1,300億円はJPX日経400のETFを買い入れていることになります。
日銀以外に設備人材ETFを買う投資家はいるのか?
下表は上場している6本の設備人材ETFの運用資産と売買代金の一覧です。
単位:百万円 | |||
運用資産 | 累積売買代金 | 1日平均売買代金 | |
A | 79,153 | 1,967 | 12 |
B | 8,668 | 4,403 | 28 |
C | 3,108 | 28 | 0.18 |
D | 12,317 | 91 | 0.64 |
E | 71,117 | 34 | 0.24 |
F | 4,101 | 11 | 0.09 |
運用資産は2017年1月10日、売買代金は上場日から2017年1月10日まで 出所:信頼できると判断したデータを基に当社が作成 |
これを見ると、AとEの運用資産が791億、711億と傑出しています。
しかし売買代金を見ると、通算でもAは19億円、Eは3,400万円しか売買がされておりません。
個人がETFを買うと市場での売買に反映されるため、設備投資ETFを購入した個人は少ないと推測されます。
その他のETFを見ても、Bは運用資産に対してそれなりの売買代金がありますが、他はほとんど売買がありません。
個人以外のETFの投資家は金融機関が中心ですが、金融機関が積極的にこのETFに投資をしているという話は聞こえてきません。
通常、当初は指定参加者がETFの在庫を保有し投資家に販売していきます。そのため、指定参加者がかなりの在庫を抱えているケースが多いのではと推測されます。
指定参加者についてはこちらをご覧ください。
ETFと指定参加者 ~マーケットメイカーとの役割の違い~
マーケットメイカー ~ETFのマーケットメイクとは?~
伸び悩んだ理由は?
設備人材ETFは、多くの銘柄が市場でほとんど取引されておらず、日銀以外の投資家も見つかっていないのが現状と考えられます。
設備投資と人材投資に積極的な企業をスクリーニングするだけで、高い株価パフォーマンスが実現できるというイメージを投資家が持てなかったことが最大の理由と筆者は考えます。
すなわち、TOPIXや日経平均ではなく、あえて設備人材ETFを買うという理由が見出せなかったのではないかと考えられます。
また、JPX日経400と比べて、企業側の反応も薄いものでした。
設備人材ETFの注目度がもっと高ければ、そこに選ばれたいという企業も考えたと思います。そうなれば設備投資や人材投資の活発化につながり、実態経済にも影響を与えることができたかもしれません。
JPX日経400では、ROEの低い企業が株主還元を高めるといった企業側の反応がありました。これもJPX日経400が注目を集めたからこその現象です。
これについての詳細はコラム「JPX日経400」をご参照ください。
関連する当社が運用するETF
2022年3月現在、日銀が買い入れを行っているETFは、設備人材ETF に加え、TOPIXに連動するETFです。
当社が運用しているETFで、日銀が実際に買い入れを行っているETFはありませんが、日銀の買い入れ対象の指数であるTOPIXの2倍の値動きを目指す下記のETFを運用しております。
また、過去に日銀の買い入れ対象であった日経平均株価の2倍の値動きを目指すETFも運用しています。
1579 | 日経平均ブル2倍ETF |
1568 | TOPIXブル2倍ETF |
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ブル型ETF ~レバレッジ型商品の説明~
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