東証マザーズ指数先物の取引開始日(2016年7月19日)が近づいてきました。
活発に取引される先物となれば、この先物を活用したETFも出てくる可能性があります。
活発に売買されるのか? 何が課題になりそうかという視点でまとめました。

東証マザーズ指数先物とは

東証マザーズ指数先物(以下、マザーズ先物)は、東証マザーズ指数を対象とした先物取引です。
東証マザーズ指数は、マザーズ市場に上場する全銘柄が対象で、時価総額加重平均で算出されます。
そのため、時価総額の大きい銘柄の影響を大きく受けます。

なお、取引単位は「東証マザーズ指数×1000円」です。一単位の金額は、最近では概ね100万円程度になります。

過去10年の東証マザーズ指数の推移

期間:2006/7/7~2016/7/7、単位:ポイント、出所:Thomson Reuters

機関投資家はマザーズ先物を取引するのか?

機関投資家や証券会社と話していると、最初から積極的にマザーズ先物を取引しようという機関投資家はほとんどいないようです。
また、上場前の現時点では、証券会社にも引き合いはほとんどないとのことです。

ETFのマーケットメイクをしている専業トレーディング会社の数社とも話しましたが、彼らも出来高があれば参加したいと様子見の立場です。

また、仮に弊社のようなETFの運用会社がマザーズ先物を利用して運用する場合、ある程度安定して売買ができることを見極められることが前提となります。
なぜなら、マザーズ先物で運用する商品設計にしても、売買が少なすぎて実際は運用できないということになる危険性もあるからです。

そのため、上場当初に取引が盛り上がるかどうかは、個人投資家が取引をするか否かに懸かっていると思います。

マザーズ先物が活発に売買され、使える商品となるには

まずは個人投資家が取引するか否かという点が重要ですが、それ以上に気になることがあります。
それは先物の買い手と売り手のアンバランスです。

先物の買い手と売り手が多数いて、マーケットメイカーも適切なプライスを提示できれば、マザーズ先物は活発に取引されることになるでしょう。

機関投資家や証券会社と話していると、ヘッジ目的やマザーズ市場の急騰時にショートしたいといった先物の売りのニーズはあるようです。
先物の売り手、すなわち売り(ショート)ポジションを建てたいという投資家はそれなりにいることが想定されます。

では、逆に先物の買いポジションを取りたいという人はどの程度いるのでしょうか?
現時点においては、ここがあまり見えてきません。

マザーズ先物の原資産には流動性が高くない銘柄も含まれ、借株料も高いので、売りポジションに偏ったニーズだとマーケットメイカーの証券会社が良いプライスを出すのは難しいでしょう。

この場合、マザーズ先物は使い勝手が悪いということで、あまり取引されないままになるという可能性があります。

東証REIT指数先物

あまり売買されていない先物取引として、2008年から取引が開始された東証REIT指数先物があります。
想定元本ベースでの売買が1日1億円に達するかどうかという状況です。
参考までに、日経平均先物は1兆円以上できる日がほとんどです。JPX日経400先物でも100億円程度の出来高となっています。

東証REIT指数先物のニーズが全くないのかというと、そうではないと思います。
REITは銀行などの金融機関がたくさん保有しています。配当利回りが高いので、配当を金融機関の収益に計上するために保有しています。できれば値動きによる影響は抑えたいと考えている担当者は多く、ヘッジのニーズはあります。

しかし買い建てのポジションを持ちたいという投資家がいません。
また、先物の中身であるREITもそれほど流動性がなく借株コストも高いため、証券会社も先物に良いプライスを提示することはできず、結果として先物自体もほとんど流動性がありません。

マザーズ先物は成功するのか?

これは結果を見届けるしかありません。
少なくとも2008年に東証REIT指数先物が上場したときより、マザーズ先物のほうが盛り上がっています。
マザーズ先物が成功するかどうかのポイントは、先物の買いポジションを取る投資家が出てくることだと思います。

弊社としてもマザーズ先物の取引が活発になり、それを活用したETFなども出てくることを期待しています。


マザーズ先物を取引に使うETFはまだありませんが、レバレッジ・インバース方ETFは日経平均やTOPIXの先物を活用して運用しています。これらのETFの先物取引の実態については、レバレッジ・インバース(ブル・ベア)ETFの先物取引の実態をご覧ください。