信用取引には一般信用と制度信用があります。
貸借銘柄とは、制度信用銘柄のうち、証券取引所および証券金融会社が定める基準を満たした銘柄が選定されます。

一般信用、制度信用とは

信用取引には、一般信用取引と制度信用取引の2種類があります。

一般信用取引とは:
証券会社が決済期限や品貸料を自由に決められます。

制度信用取引とは:
証券取引所が制度信用取引のできる銘柄を決めます。
証券取引所が定めた制度信用銘柄選定基準を満たした銘柄だけが、制度信用銘柄となります。
証券取引所や証券業協会の規則により、決済期限は最長6ヶ月と定められ、品貸料も決められています。
選定基準が厳しいため、一般信用に比べ、金利は低めに設定されています。
制度信用取引では、証券金融会社が信用取引に必要な資金や株券を調達し、証券会社に提供します。

また、制度信用取引ができる銘柄に対しても、証券会社が独自に一般信用取引を提供しています。

制度信用取引ができる銘柄から、基準を満たした銘柄のみが貸借銘柄となります。

貸借銘柄

貸借銘柄(たいしゃくめいがら)とは、信用取引の買建だけでなく、信用売り(売建)もできる銘柄です。
証券取引所および証券金融会社が定める基準を満たした銘柄が対象となります。
制度信用銘柄のうち、証券会社が信用取引に必要な資金や株券を、証券金融会社から調達することが可能な銘柄が対象となります。

制度信用銘柄のうち、貸借銘柄以外の銘柄を「信用銘柄」や「非貸借銘柄」と呼びます。
「信用銘柄」は信用売りができず、信用買いだけができます。

一般信用銘柄-信用銘柄-貸借銘柄

貸借銘柄はどうやって選ばれるのか、銘柄数は?

貸借銘柄の選定基準は、流通株が2万単位以上、株主数1,700人以上、直近6ヶ月間で値付率80%以上、売買高月平均100単位以上などがあります。

流動性が薄い銘柄では値付率80%以上も達成できない銘柄は多くあります。また、株主数1,700人以上も知名度の低い銘柄にとって簡単な数字ではありません。

東証における貸借銘柄の割合は以下のとおりです。

  貸借銘柄 制度信用銘柄 非制度信用銘柄
プライム 1,692 146 0 1,838
スタンダード 503 938 7 1,448
グロース 111 368 4 483
ETF・EFN 272 27 0 299
不動産投資信託 51 16 0 67
優先出資証券 1 0 1 2
2,630 1,495 12 4,137
出所:東京証券取引所 開示データ参照、2022年9月5日時点

東証一部では貸借銘柄の比率が高いですが、その他の市場では制度信用のみの信用銘柄が大部分を占めます。

それでは、ETFは貸借銘柄に選定されているのでしょうか?

全てのETFは貸借銘柄に選定されています

東証上場のETFは260銘柄(2022年4月1日時点)あり、全てが貸借銘柄となっています。

指定参加者が日証金に保有するETFを貸株として提供することを確約しており、これがETF上場の条件になっています。そのため、日証金が十分な貸株を確保できるということで、全て貸借銘柄に選定されています。

これに対して、ETNは東証に26銘柄(2022年3月末現在)上場していますが、貸借銘柄はなく全て信用銘柄です。
ETNでは、上場の条件として指定参加者が日証金に貸株を提供することを確約する必要がないためです。

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実際には信用取引できるの

東証に上場しているETFは261銘柄ですが、そのうち35銘柄は外国籍のETFです。
外国籍のETFでは、あまり信用取引が行われていません。
その理由の1つとして、証券会社のシステムが外国籍ETFの信用取引に対応していないといったこともあるようです。

また、日証金に十分な貸株が提供されておらず、貸借取引が機能していないケースもあります。
以前は指定参加者がETFの在庫を十分持ってマーケットメイクをしており、その在庫のETFを日証金に貸していました。しかし、近年はマーケットメイクの主役が専業マーケットメイカーに移っていることもあり、指定参加者が十分なETFの在庫を保有していないこともあります。
専業マーケットメイカーが保有するETFを貸し出すという仕組は、現時点ではあまりうまく構築できていないようです。

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