五月丸:

ベア(インバース)型ETFはマイナス1倍、逆の動きをします。すなわち、市場が下がると上昇するのがベアETFです。
ベアETFは1日ごとに基の指数のマイナス1倍を目指すので、長期で見るとマイナス1倍からかい離します。
ベア2倍(ダブルインバース)ETFもあり、これはマイナス2倍、逆方向に2倍の値動きをします。市場が下がると大きく期待できるときに利用されるETFです。
代表的なETFとして、日経インバース指数に連動する日経平均ベアETF(コード1580)や日経ダブルインバース指数に連動する日経平均ベア2倍ETF(コード1360)があります。

ベア(インバース)型ETFの使用目的

ベア(インバース)型ETFを使えば、ETFを買うだけで空売りと同様に下げ相場で利益を狙うことができます。

上げ相場では株を買って利益を出すことができる人はたくさんいます。
しかし、下げ相場で同じように利益を出すことは非常に難しいものです。
なぜなら、大半の株が下がっている中で、上昇する株を探すことは難易度が高いからです。

信用取引口座を持っており、信用取引を行う投資家の方は「空売り(カラウリ)」で下げ相場でも利益を出そうとします。
空売りは、株を借りて売り、株価が下がったところで買い戻し借りた株を返却するという取引です。
しかし、信用取引は信用取引口座の開設、証拠金の管理、決済期限など扱いが難しい点もあります。

そんなハードルの高かった「空売り(カラウリ)」と同じように、下げ相場で利益を上げることができるETFがベア(インバース)型ETFです。

また、保有株のヘッジとしてもベア型ETFは活用できます。すでに様々な株を持っている方で、下げ相場を予想しても保有株を売却するのは難しい場合があると思います。税務上の問題、優待狙い、心理的に損失を出したくないなど様々な理由が想定されます。
このような場合に、ベア型ETFを保有すれば、予想通り下げ相場が来て保有株が下がっても、ベア型ETFが上昇することで、保有株の下落リスクをヘッジすることができます。

シンプク:

信用取引を行わなくても、下げ相場で利益を上げられるツールがベアETF。
ベア型ETFは保有株のヘッジとしても活用できます。

ベア(インバース)型ETFは逆の動きをする

基の指数が1%下がったら、逆に1%上がるのがベア型(インバース)ETFです。
日経平均ベアETFの参照指数である日経インバース指数を使って説明します。
日経インバース指数の動きの基となる指数は日経平均です。

指数が1%下がったら逆に1%上がるのがベア型ETF

しかし、基の指数が上がると日経インバース指数は下がります。

指数が1%上がったら逆に1%下がるのがベア型ETF

長期間の動きには注意が必要

ここでも、日経インバース指数と、本となる日経平均の動きを比べてみましょう。
日経インバース指数は前日の終値から当日の終値という“1日の変動率”を基準として、-1倍を目指して変動します。
あくまで1日の変動率であり、2日以上の長期間で見ると-1倍からかい離します。

例えば、2日連続で基の指数が下がった場合

ベア型ETF-指数が2日連続で下がった場合

日経平均は2日間で14.5%(100→85.5)下落。これに対して日経インバース指数は2日間で15.5%(100→115.5)上昇しています。これは日経平均の下落の-1倍を超えて上昇しています。

2日連続で基の指数が上がった場合

ベア型ETF-指数が2日連続で上がった場合

日経平均は2日間で15.5%(100→115.5)上昇。これに対して日経インバース指数は2日間で14.5%(100→85.5)下落しています。これは日経平均の上昇の-1倍未満の下落です。

上げ下げがくり返された場合は・・・

ベア型ETF-指数上げ下げ繰り返された場合

上げ下げを繰り返し3日後、日経平均は±0です(100→100)。これに対して日経インバース指数は-1.4%(100→98.6)と下回っています。

以上のように1日の値動きが-1倍となっても、長期間で見ると必ずしも-1倍とはならず、かい離していきます。

レクス:

ベア型ETFは仕組み上、1日の値動きはマイナス1倍となっても、長期間で見ると必ずしもマイナス1倍とはならず、かい離します。

ベア2倍(ダブルインバース)のETFもあります

日経平均ベア2倍ETFもあります。
通常の指数のマイナス2倍、すなわち逆方向に2倍動きます。
日経ベア2倍ETFの参照指数の日経ダブルインバース指数を見てみましょう。

日経平均が1%下落すると、日経ダブルインバース指数は2%上昇します。

日経ダブルインバース指数-日経平均が1%下がったら逆に2%上がる

逆に、日経平均が1%上昇すると、日経ダブルインバース指数は2%下落します。

日経ダブルインバース指数-日経平均が1%上がったら逆に2%下がる

日経ダブルインバース指数も、1日ではマイナス2倍の値動きとなっても、長期間で見るとマイナス2倍からかい離する現象がおきます。

市場が下落すると大きく期待できるときに、短期的な値動きを狙うETFとして使われています。

当社が運用するベア(インバース)型ETF

日経平均 1580 日経平均ベアETF
1360 日経平均ベア2倍ETF
TOPIX 1569 TOPIXベアETF
1356 TOPIXベア2倍ETF
JPX日経400 1469 JPX日経400ベア2倍ETF
中国H株 1573 中国H株ベアETF

レバレッジ型ETFの運用についてはこちらのコラムをご覧ください。
レバレッジ・インバース型ETFの運用方法
レバレッジ・インバース型ETFの先物取引の仕組み


ETFについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
ETFの基礎知識

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ETFの活用方法 ~個別株独自のリターンを狙おう~


 
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