政策保有株式は時代遅れの“鎧”?

シンプク:

政策保有は企業にとって本当に大事なものなのでしょうか?有価証券報告書の記載をみても、「取引関係の維持のため」と素っ気ない書きっぷりですから意固地に持ちつづけるのが不思議です。

円谷:

結論として政策保有を売ったからといってその企業の業績が悪くなることはありません。政策保有を持っていた会社が売却した前後でもなにかしらその会社の利益率や成長性に変化はないです。むしろ政策保有を売却して(少しの時間をみて)将来性、つまり成長性が高まったということのほうがあるのだろうと思っています。

円谷:

色々な検証の結果から政策保有株式の保有には効果がないと主張しています。もちろん個別銘柄によってはもしかすると効果があるところもあると思いますね。であれば、投資家に向けて堂々とその効果の証拠を見せて説明をしていけばいいのではないでしょうか。「こんなにも効果があるのだから政策保有株を持たせてほしい」と。
しかしながら平均としては効果が見られないので政策保有はやめたほうがいいですよねというのが私の考えです。

レクス:

でも、それなら、そもそも政策保有株ってなんで始まったのでしょうか?

円谷:

以前は政策保有株はとても重要なものでした。というのは、戦後の日本経済がまだ弱いとき、政策保有のほかに海外からの買収を防ぐ手立てがなかったからです。
その頃にはトヨタ自動車もかなり政策保有を強化しましたし、1960年代に日本がOECDに加盟し資本自由化がすすめられていくときにも守りとして重要だったんです。

円谷:

でも今は違います。たとえ話として、むかしは鎧で体を守っていた。弓矢を防ぐぐらいだったので何とか守れたのだけれども、もはや鉄砲の時代になって全然違う戦いをしなければいけない。
現代の上場企業経営においても同じく、政策保有という鎧は自身を守ることのできない「重し」になっているのではないですか?脱がれたらどうですか?と話しています。



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円谷教授インタビュー