政策保有解消に目覚めたトヨタ?

シンプク:

新聞報道やメディアにてトヨタ自動車による政策保有見直しや、金融機関の「東証PBR要請」への取り組みが紹介されていました。まさにこれから変わっていく転換点なのでしょうか。

円谷:

まさにそうだと思います。先程の政策保有が「重いだけの鎧」になってしまっていることに自動車業界側が気づいてきたのだと思います。企業がやっと気づいてくれたという以上に、自社の未来のために自分から気づいてくれたということがいいことです。
銀行は政策保有の売却のタイムラインを統合報告書などで開示しています。正直、五年間でいくらいくらと書いてあるが、もっと早くできるんじゃないかな。本気でやればもっとできるのではないだろうかというのは思います。

レクス:

でもそんなに大きい政策保有はどうやって解消すればいいの?

円谷:

歴史的な経緯を見ると最近かつ最大だった増資はバブル期です。その時に互いに増資をして互いに持合いを強化して政策保有をおこないました。今度逆をやればいい。つまり相互に持っているものを同時に自社株買いする。それはそんなに難しいことではないので、法制度による効果的な後押しが必要だろうと思っていますね。

レクス:

法制度の後押し…?

円谷:

制度で政策保有を厳しくするしかない。個別の保有意義をもっと開示させるとか。あるいはこの一定期間であれば政策保有の売却益を税制優遇するとか。なぜならばかなり過去から持っている株は低い簿価であり相当な含み益であるはずです。政策保有規制だけではなく、そういった政策保有の解消を促すような制度の仕組みを入れるべきでしょう。
実際企業としても投資家からの持合い売却要請であったり世界と比較した特殊であったりはよくわかっているがあと一歩背中を押してくれる制度がほしいのだろうと思います。 その頃にはトヨタ自動車もかなり政策保有を強化しましたし、1960年代にOECD加盟で資本が自由化されていくときにも守りとして重要だったんです。

シンプク:

投資家だけではなく、国策として政策保有解消を推し進める必要もあるのですね。今日はありがとうございました。


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円谷教授インタビュー