あなたの会社のCFOは「PBR」を説明できますか?

シンプク:

東証がPBR1倍割れの企業に改善策を要請しています。企業側にとってPBR1倍未満によく効く特効薬はあるのでしょうか。

円谷:

問題の視点を変えて、経営者=取締役に目をむけてみましょう。日本や欧米にて取締役のスキルを比べたデータがあります。
日本の取締役は会計・ファイナンスのスキルがとても弱いと思っています。

・日本では経理部出身もしくは銀行出身の人をCFO(最高財務責任者)に任命していることが多いです。海外は違います。資本市場でのビジネス経験や理解、つまりファイナンスのスキルの有無が重要です。
公認会計士まで持っている経理の担当者でも資本コストなどファイナンス分野となると苦手意識を持ってしまっていることを伺うことがあるんです。

シンプク:

ファイナンスと会計はよくセットで言及されますが、それぞれとても専門性が高く、マスターするのは大変ですよね。

円谷:

社外取締役についても同様のことがいえます。
まず海外では外部の会社を監督する役割を担う社外取締役には当然ファイナンスに関する深い見識を有するという理解がある。
日本でも資本市場の経験者に社外取締役がもっと任されていく必要があると思っています。
企業側からすれば、社外取締役はどうしても距離を感じてしまう投資家出身者ではなく会計士の先生にお願いしたいという気持ちは分からなくないのですが。
そういった観点からPBR1倍未満改善に向けた課題は根深いのだろうと思っているのです。

レクス:

金庫番として財務は安全であればあるほどよかった。そこが東証改善要請によってPBRとか資本コストはまさに焦りながらこれから勉強していくということになりそうですね。

円谷:

今回の東証のPBR1倍割れ企業への改善要請はそういった取締役たちの刺激になっていると思います。

レクス:

PBR1倍割れをシンプルにとらえると「純資産を持ちすぎている、つまり余剰な現金等や政策保有株式を持ちすぎている」という市場のメッセージではないでしょうか。

円谷:

実際、企業に現金保有はこのぐらい必要だと開示をさせて良いのだろうと思っています。

円谷:

日本IR協議会でのアンケートでも多くの企業が現金保有ポリシーを内部で持っているとのことでした。
仮に売上が半年間ゼロになっても倒産しないとかとかある程度の期間において従業員の給料などの固定費を賄えるだけの水準を持つとかを各企業は現金保有の目安をもっていますそういったポリシーを開示させていいのではと思っています。

円谷:

明確な基準でないと“作文”で表面的に対応してしまおうという動きも出るでしょう。
いつかやりたいM&Aになんともなしに備えていますとかではなく、このぐらいの現金がいま必要だということをもっとはっきりとさせていく必要があるのだろうとおもっています。




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円谷教授インタビュー